ハチコウ大学講座

ハチコウ大学講座「渋谷区ひと駅散歩:表参道駅~明治神宮前駅」を開催しました

公開日

令和7年 6月11日(水曜日)

変わり続ける東京ですが、表参道駅と明治神宮前駅の間も、例外ではありません。昨年は、東急プラザ原宿「ハラカド」が開業しましたが、今年は、グリーンテラス表参道が、グランドオープンしました。当日はひと駅の間を、ゆったり歩きました。

まずは高野長英隠れ家跡の石碑について説明を受けました。
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高野長英は陸奥国水沢で生まれました。シーボルトの鳴滝塾で学んだ後、江戸で医業を営みます。モリソン号事件では「戊戌夢物語」を著して、幕府を批判しました。そのため、「蛮社の獄」で捕らえられて、小伝馬町の牢屋敷に収監されました。しかし、火災での解き放ちに乗じて脱獄し、逃亡を続けた後、青山百人町で沢三伯と名前を変えて、医者を開業しました。ただし、嘉永3年(1850)年10月30日、密告によって捕縛され、自害しました。明治 31年(1898)、功績によって、正四位を追贈されたことから、善光寺に、勝海舟の撰文で、顕彰碑が建立されました。しかし、昭和 20年(1945)の戦災で破損したため、昭和 39年(1964)に再建され、その際、終焉地に建つ青山のスパイラルにも碑が建てられたとのことです。

続いて、青山セントグレース大聖堂を訪れました。
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平成18年(2006)5月に開業した結婚式場でヨーロッパの大聖堂を模した建築を特徴としており、高さ28mの尖塔を備えています。大聖堂という名前がついてはいますが、キリスト教などの宗教施設ではなく、結婚式・披露宴専用の疑似教会堂、いわゆるウェディングチャペルだそうです。

続いて、「クレヨンハウス」の跡地に建てられた今年オープンのグリーンテラス表参道を訪れました。
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かつて、玩具や絵本のショップとオーガニックレストランを併設した複合施設「クレヨンハウス」が37年もの間、店を構えていた場所に令和7年(2025)のGWにグランドオープンしました。建物内には、東京初出店となるオーガニックジェラート店や、日本を代表するバリスタが手がけるコーヒーショップ、パリ発の香水専門店など、注目の店舗が何店も出店しています。「クレヨンハウス」は、元アナウンサーの落合恵子がオープンしましたが、令和4年(2022)11月23日に閉店し、吉祥寺に移転・開業したとのこと。

屋上の空中庭園も散策しました。
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表参道のケヤキ並木の木の高さに揃えるように設計された建物は、大地をイメージしているそうで、地上には、深い緑色の日本の在来種が植えられ、上層部に向かうにつれて、黄緑を基調とした外来種が増えていくという、緑のグラデーションを楽しむことができます。つまり、フロアによって植生が異なるため、立体的な空中庭園を散策しているような気分を味わえるとのこと。また、屋上にはルーフトップテラスが整備されました。

続いて大山巌邸宅跡に向かいました。
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西郷隆盛の従弟で陸軍大将でもあった大山巌邸宅跡です。大正12年(1923)の関東大震災で焼失し、さらに、昭和20年(1945)の空襲で焼失し、戦後、没収されたとのこと。

続いて、原宿キャットストリート周辺を散策しました。
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正式名は「旧渋谷川遊歩道」。昭和39年(1964)に暗渠になった谷川の上に作られたのが、キャットストリートの始まりとされ、キャットストリートと呼ばれるようになった由来は、以下のように、諸説あるそうです。
①もともと、猫が多かったため
②「ブラックキャッツ」というバンドが生まれたエリアだから
③猫の顔のように小さく細い道だから
などがあるそうです。約1kmに及ぶ通り沿いには、ハイブランドからセレクトショップ、古着店など、ファッション店が並びます。飲食店やフォトジェニックなスポットも豊富で、歩いているだけでも楽しめます。初期は、かなり幅の狭い遊歩道だったが、防災の観点から、近年、車が通ることのできるように道幅が広げられました。

現在は暗渠となっている渋谷川ですが、名前の由来には諸説あり、鉄分を多く含む水が赤さび色の「シブ色」をしていることから「シブヤ川」と呼ばれたという説があるとのこと。もともとは、新宿御苑が水源で、そこに、玉川上水の余水を流していたそうです。 かつての渋谷川には、宇田川などいくつもの支流があり、その宇田川の支流だった河骨(こうほね)川は、唱歌「春の小川」の舞台になったとされています。
現在の渋谷川は、渋谷区内の宮益橋から天現寺橋間の約2.6kmを渋谷川、港区内の天現寺橋からJR浜松町駅付近で東京湾に注ぐ河口までの約4.4キロを古川と呼んでいる二級河川です。渋谷川と古川をあわせると、流域面積は約22.8㎞、河川延長は約7㎞におよびます。前回の東京オリンピックの開催に向けて、公共下水道の普及が必要になったこともあり、渋谷川上流の暗渠化工事が急ピッチで進められ、その結果、宮益橋の上流域と支川はすべて暗渠になった上、下水道化されているが、稲荷橋の下流からは開水路になっています。
これまで、渋谷川は、降雨時を除いてほとんど水が流れていませんでしたが、近年、官民連携によって清流復活水(下水を高度処理した再生水の供給)を流すことによって水流を取り戻し、「壁泉」(へきせん)と呼ばれる水景施設も整備されました。再生水は従来、新並木橋付近から放流していましたが、平成30年(2018)の「渋谷ストリーム」の開業以降は、同施設付近、すなわち、開渠部開始地点付近から「壁泉」と呼ばれる形で供給しています。

続いて東急プラザ表参道「オモカド」を訪れました。
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平成24年(2012)4月18日オープン。開業時は、東急プラザ表参道原宿という名称でしたが、令和6年(2024)4月の東急プラザ原宿「ハラカド」の開業にともない、東急プラザ表参道「オモカド」に名称を変更したそうです。

7Fのおもはらの森にも立ち寄りました。
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7Fに、四季を感じることができる樹木を配し、新たな「森」を創出するというコンセプトで造られたそうで、巣箱や水のみ場が設置され、明治神宮の森、表参道のケヤキ並木とともに、鳥や昆虫などに優しい場所になっています。当時は、東京にほとんど同様の施設がなかったこともあって、大きな話題になりました。「おもはら」とは、表参道と原宿からのネーミングだそうです。

最後に、東急プラザ原宿「ハラカド」を訪れました。
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令和6年(2024)4月17日に開業。これまで、さまざまなカルチャーを生み出してきた原宿・神宮前エリアが持つヒストリーや、SNSを通じて、誰もが発信や自分なりの表現を行う現在の時代背景を踏まえて、「多様な人々の感性を刺激する、新たな原宿カルチャーの創造・体験の場」をコンセプトとしています。

2Fにある「COVER」です。
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出版社からの提供、および一般からの寄贈で集まった約3,000 冊を超える雑誌が集まる雑誌ライブラリーです。来館者のクリエイティビティを刺激する街の雑誌図書館として、原宿の新しい"たまり場"を目指すそうです。

B1には、小杉湯原宿という銭湯もありました。
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小杉湯は、昭和8年(1933)創業の高円寺にある老舗銭湯。熱湯と水風呂に交互に入る「温冷交互浴」や、初代から受け継がれてきた「ミルク風呂」が名物。小杉湯原宿は、高円寺で代々引き継がれてきた「小杉湯らしさ」を届けると同時に、原宿の街に暮らす人々と「原宿らしさ」を作り出していける場所にしたいと考えているとのこと。


当日は夏を感じさせる暑さでしたが、時折、立ち寄る施設の冷房に助けられました。
今後も皆様の学びの好奇心を満たす一助となれるような講座を企画していければと思います!