2026年9月30日、西武渋谷店はその長い歴史に幕を下ろす。
かつて西武百貨店は、単なるデパートではなかった。セゾングループの総帥・堤清二のもと、「生活総合産業」という理念を掲げ、西武美術館、PARCO劇場、リブロ、WAVEなどを通じて、新しい都市文化を生み出す拠点となったのである。
1970年代から1990年代にかけては、渋谷において西武・パルコ陣営と東急陣営が激しく競い合った。いわゆる「渋谷戦争」である。それは単なる商業競争ではなく、都市文化の創造をめぐる戦いでもあった。
しかし21世紀に入り、インターネットの普及、インバウンド需要への依存、再開発による街の変容のなかで、西武渋谷店は次第に存在感を失っていく。西武本体もそごうとの統合によって生き残りを図ったものの、2023年にはアメリカの投資ファンドへの売却に至った。そして2026年、西武渋谷店は閉店を迎える。
一方、競争相手であった東急もまた大きく姿を変えつつある。渋谷駅周辺では大規模再開発を進めるが、東急百貨店本店は2023年に閉店し、ハンズ渋谷店も2026年11月に閉店予定という。
本講演では、西武渋谷店閉店という出来事を入口として、戦後日本の消費社会、都市文化、百貨店文化、そしてセゾン文化の意義を振り返る。同時に、「渋谷戦争」と呼ばれた時代が日本の都市文化に何をもたらし、私たちはそこから何を受け継ぐべきなのかについても考えてみたい。
講演タイトルに掲げた Vale! は、ラテン語で「さらば」「元気であれ」を意味する別れの言葉。それは単なるノスタルジーではない。一つの時代への惜別であるとともに、その時代が生み出した文化的遺産を未来へ手渡そうとする願いでもある。
| 受付期間 | 令和8年8月6日(木)11:00~令和8年8月20日(木)17:00 |
|---|---|
| 開催日程 | 令和8年9月4日(金) 14:00~15:30 |
| 対象者 | ハチコウ大学生のみ |
| 定員 | 30人 |
| 会場 |
シブカツ(ヒカリエ) |
| 主催 | 渋谷区学びとスポーツ課 |
| 講師 | 白百合女子大学 文学部 国語国文学科 教授 井上 隆史 |
| ハチコウ大学認定単位数 | 1単位/1出席 |
地図
渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ8階